剰余金の分配規制

会社法講義95日目

●剰余金の分配規制
会社の純資産額が300万円を下回る場合には、剰余金の配当をすることができません(会458)。会社債権者を保護するためです。

剰余金の配当をする場合には、法務省令で定めるところにより、配当により減少する剰余金の額の10分の1を資本準備金又は利益準備金として計上しなければなりません(会445‐Ⅳ)。


配当は、分配可能額を算出し、その限度内でのみ認められます(会461‐Ⅰ‐⑧)。分配可能額は、次の(1)(2)を加算し、(3)~(6)を減算して得た額となります(同条‐Ⅱ)。

(1)剰余金の額。
(2)臨時計算書類につき株主総会の承認(又は取締役会の承認・会441‐Ⅳ‐ただし書、同条‐Ⅲ)を受けた場合における ① その期間の利益の額として法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額 ② その期間内に自己株式を処分した場合における対価の額。
(3)自己株式の帳簿価額。
(4)最終事業年度の末日後に自己株式を処分した場合における当該自己株式の対価の額。
(5)(2)の場合におけるその期間の損失の額として法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額。
(6)その他、法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額。

また、下記の自己株式取得行為により株主に交付する金銭等(当該会社の株式を除く)の帳簿価額の総額は、当該行為の効力発生日における分配可能額を超えてはなりません(会461‐Ⅰ)。

(1)譲渡制限株式の買取り(会138‐①ハ、②ハ)。
(2)子会社からの自己株式の取得、市場取引・公開買付けによる自己株式の取得(会163、165‐Ⅰ)。
(3)すべての株主に売却の機会を与えてする自己株式の取得(会157‐Ⅰ)。
(4)全部取得条項付種類株式の取得(会173‐Ⅰ)。
(5)相続人等への売渡請求に基づく自己株式の買取り(会176‐Ⅰ)。
(6)所在不明株主の株式の買取り(会197‐Ⅲ)。
(7)端株処理手続における自己株式の買取り(会234‐Ⅳ)。


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Posted by no-ko at 11:46 │会計の計算