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Posted by TI-DA at

監査役

会社法講義66日目

●監査役の意義
監査役とは、取締役(会計参与設置会社では会計参与も)の職務の執行を監査する機関をいいます(会381‐Ⅰ)。会社は定款で、監査役を置くことができます(会326‐Ⅱ)。

監査役は株主総会で選任、解任します。この定足数は定款をもってしても3分の1未満にすることができないことは他の役員の場合と同じです(会329‐Ⅰ、341)。

選任は普通決議で足りますが、解任は「特別決議」による必要があります(会309‐Ⅱ‐⑦)。これは監査役の地位の強化のためです。

監査役の数は1人で足りますが、監査役会設置会社では3人以上で、かつその「半数以上」は社外監査役でなければなりません(会335‐Ⅲ)。

監査役は、会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人又は子会社の会計参与(会計参与が法人であります場合は、その職務を行うべき社員)若しくは執行役を兼ねることができません(兼任禁止・会335‐Ⅱ)。

監査役の欠格事由は取締役と同様です。また、定款で監査役の資格を株主に限ることはできませんが、非公開会社についてはできることも取締役の場合と同様です(会335‐Ⅰ、331‐Ⅰ、Ⅱ)。

取締役は、監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役(監査役が二人以上あるときはその過半数、監査役会設置会社では監査役会)の同意を得なければなりません(会343‐Ⅰ)。

また監査役(監査役会設置会社では監査役会)も取締役に対し、監査役の選任を株主総会の目的とすること又は監査役の選任に関する議案を株主総会に提出することを請求することができます(同条‐Ⅱ)。

●監査役の任期
監査役の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです(会336‐Ⅰ)。

ただし、非公開会社については定款で、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができます(同条‐Ⅱ)。

会社は定款で、任期満了前に退任した監査役の補欠として選任された監査役の任期を退任した監査役の任期の満了する時までとすることができます(会336‐Ⅲ)。

下記に掲げる定款の変更をした場合には、監査役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了します(会336‐Ⅳ)。

(1)監査役を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更。
(2)委員会を置く旨の定款の変更。
(3)監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更。
(4)全株式の譲渡制限に関する定款の定めを廃止する定款の変更。
  


Posted by no-ko at 14:17監査役

監査役の欠員・報酬・退任

会社法講義67日目

●監査役の欠員
監査役が欠けた場合などに備えて、あらかじめ補欠の監査役を定めておくこと(会329‐Ⅱ)、権利義務承継監査役、一時監査役(仮監査役)については、取締役の場合と同様です(会347‐Ⅰ~Ⅲ)。

●監査役の報酬
監査役の報酬は、定款でその額を定めていないときは、株主総会の決議によって定めます(会387‐Ⅰ)。

監査役が二人以上ある場合において、各監査役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等は、定められた報酬等の範囲内で監査役の協議によって定めます(同条‐Ⅱ)。

監査役は、株主総会において、監査役の報酬等について意見を述べることができます(会387‐Ⅲ)。監査役の報酬に関する議案は取締役が決めるので、取締役の監査役への支配が及ぶのを防ぐためです。

●監査役の終任
監査役と会社との関係も委任に関する規定にしたがいます(会330)。

任期の満了の他に、辞任、死亡、欠格事由の発生、解任によっても退任します。解任には、取締役の場合と同じく株主総会による解任、少数株主による解任の訴え、種類株主総会による解任などがあります(会339‐Ⅰ、341、854、347‐Ⅱ、324‐Ⅱ‐⑤)。

なお、解任または辞任に際して、監査役の地位を守るために監査役は株主総会において意見を述べることができます(会345)。解任または辞任に追い込まれた監査役以外の監査役も意見を述べることができます。取締役には、このような規定がありません。

正当な理由無く解任された監査役は損害賠償請求ができます(会339-Ⅱ)。
  


Posted by no-ko at 12:46監査役

監査役の職務

会社法講義68日目

●監査役の職務
◆監査役の権限
監査役は、取締役(会計参与設置会社については会計参与も)の職務の執行を監査する機関ですので、その監査は会計の監査に限らず、業務の全般に及ぶこととなります。

そして監査役は、法務省令で定めるところにより(規則105条)、監査報告を作成しなければなりません(会381‐Ⅰ)。

そのため必要があるときは、監査役はいつでも取締役及び会計参与並びに支配人その他の使用人に対して事業の報告を求め、又は会社の業務及び財産の状況を調査することができます(同条‐Ⅱ)。

また、その職務を行うため必要があるときは、子会社に対し事業の報告を求め、又は子会社の業務及び財産の状況の調査をすることもできます(同条‐Ⅲ)。

親会社が子会社を利用して、会計処理にあたって不正をはかることがあるからです。子会社は正当な理由があるときは、報告又は調査を拒むことができます(同条‐Ⅳ)。

◆株主総会への報告義務
監査役は、取締役が株主総会に提出しようとする議案、書類その他法務省令で定めるもの(規則106条)を調査しなければなりません。

このとき、法令若しくは定款に違反し、又は著しく不当な事実があると認めるときは、その調査の結果を株主総会に報告しなければなりません(会384)。

◆取締役への報告義務
監査役は、取締役が不正の行為をし、若しくはするおそれがありると認めるとき、又は法令若しくは定款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を取締役(取締役会設置会社にあっては取締役会)に報告しなければなりません(会382)。

そのため、監査役に取締役会招集請求権及び招集権が認められます(会383‐Ⅱ、Ⅲ)。

◆取締役会への出席、意見陳述義務
監査役は、取締役会へ出席し、必要があると認めるときは意見を述べなければなりません(会383‐Ⅰ)。

◆取締役の違法行為の差止請求
監査役は、取締役が会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又は行為をする恐れがある場合において、その行為によって会社に著しい損害が生ずる恐れがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができます(会385‐Ⅰ)。

裁判所の仮処分によって、取締役の行為の差し止めを求める場合に、株主と異なり担保を立てる必要はありません(同条‐Ⅱ)。

◆費用等の請求
会計参与の場合と同様の規定があります(会388)。費用の点で十分な監査ができないといったことがないようにするためです。
  


Posted by no-ko at 12:01監査役

定款による監査範囲の限定

会社法講義69日目

●定款による監査範囲の限定
公開会社でない会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く)は、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨、定款で定めることができます(会389‐Ⅰ)。
中小企業では、取締役の監査までできる人材を確保できないことが往々にしてあるからです。

定款で会計監査に限定された監査役は、法務省令で定めるところにより(規則107条)、監査報告書を作成しなければならず、また取締役が株主総会に提出しようとする「会計に関する」議案、書類その他の法務省令で定めるもの(規則108条参照)を調査し、その調査の結果を株主総会に報告しなければなりません(会389‐Ⅱ、Ⅲ)。

そのため、会計帳簿その他の資料の閲覧・謄写請求ができ、又は取締役、会計参与、支配人その他の使用人に対し「会計に関する」報告を求めることができます(同条‐Ⅳ)。

また、必要があるときは、子会社に対しても「会計に関する」報告を求め、又は会社、子会社の業務及び財産の状況を調査することができます(同条‐Ⅴ)。

子会社は正当な理由があるときは報告又は調査を拒むことができます(同条‐Ⅵ)。

会計監査に限定された監査役は、業務監査の権限がないので、それを前提とした権限はありません。会社法381条~386条までの権限は認められません(会389‐Ⅶ)。
  


Posted by no-ko at 12:58監査役