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Posted by TI-DA at

代表取締役の意義

会社法講義62日目

●代表取締役の意義
代表取締役とは、業務を執行し、会社を代表する機関をいいます。員数は一人でも数人でもかまいません。数人いる場合、各自が単独で会社を代表します。

◆取締役会非設置会社
原則として各取締役は、会社を代表します。取締役が二人以上ある場合には、取締役は各自、会社を代表します(会349‐Ⅰ、Ⅱ)。従って、代表取締役は設置されるとは限りません。

会社は「定款」、「定款の定めに基づく取締役の互選」又は「株主総会の決議」によって、取締役の中から代表取締役を定めることができます(同条‐Ⅲ)。この場合は、他の取締役は代表権を有しません(同条‐Ⅰ‐ただし書)。

◆取締役会設置会社
取締役会で取締役の中から選任された代表取締役が代表権を有します(会362‐Ⅲ)。取締役会は業務の意思決定をするが、会議体が自ら執行することができません。そこで代表取締役を選任して業務の執行と会社の代表にあたらせることになります。

●代表取締役の終任
◆代表取締役は取締役の地位を前提とするので、取締役の任期満了、辞任、解職など、取締役の終任事由が代表取締役の終任事由となります。

(1)代表取締役の任期について定めがないのは、取締役の地位を前提としているため、取締役の任期を定めれば足りるからであります。
(2)代表取締役は、平取締役を辞任すれば当然に資格を喪失して代表取締役も退任しますが、代表取締役のみを辞任したときは、取締役の地位まで失うものではありません。
(3)取締役会で選任した代表取締役は、取締役会でいつでも解職することができます(会362‐Ⅱ‐③)。

◆代表取締役が欠けた場合又は定款で定めた代表取締役の員数が欠けた場合には、任期満了又は辞任により退任した代表取締役は、新たに選定された代表取締役が就任するまで、なお代表取締役としての権利・義務を有します(権利義務承継代表取締役・会351‐Ⅰ)。

この場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時代表取締役の職務を行うべき者を選任することができます(仮代表取締役・同条‐Ⅱ)。

仮処分命令により、代表取締役職務代行者が選任されることもあります(会352)。  


Posted by no-ko at 15:36代表取締役

代表取締役の権限

会社法講義63日目

●代表取締役の権限
代表取締役は、会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有し、この権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができません(会349‐Ⅳ、Ⅴ)。

しかし、会社と取締役(取締役であった者を含む)間の訴訟では代表取締役に会社代表権はありません。馴れ合い訴訟の恐れがあるからです。

会社と取締役間の訴訟では、取締役会非設置会社は株主総会が定めた者(会353)・取締役会設置会社では株主総会が定めた場合を除き、取締役会が定めた者(会364‐Ⅰ)・監査役設置会社では監査役(会386‐Ⅰ)・委員会設置会社では監査委員会が選定する監査委員又は取締役会が定めた者(会408‐Ⅰ)が会社を代表します。

●代表者の損害賠償責任
会社は、代表取締役その他の代表者がその職務を行うにつき第三者に加えた損害を賠償する責任を負います(会350)。法人の不法行為責任を認めた民法44条と同旨の規定です。この場合、代表取締役個人も責任を負います(最S49.2.28)。

●表見代表取締役
会社は、代表取締役以外の「取締役」に、社長、副社長その他会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合(この者を「表見代表取締役」と呼びます)には、当該取締役がした行為につき、善意の第三者に対してその責任を負います(会354)。

本来、代表取締役以外の平取締役に代表権はないが、代表権があるかのような名称を信頼して取引をした第三者を保護するためです。

会社が表見代表取締役の責任を負うには、①代表権を有するものと認められる虚偽の外観(名称)が存在すること、②虚偽の外観の作出に会社に帰責事由があること(名称の付与)、③第三者が善意(無重過失)であることが必要です。重過失があれば、悪意と同視されるので第三者は保護されません。

表見代表取締役制度は、名称による外観保護規定であるので取締役でない使用人に代表取締役としての名称が付与されている場合にも類推されます。
  


Posted by no-ko at 12:05代表取締役