資本金の額の減少

会社法講義91日目

●資本金の額の減少
会社は、資本金の額を減少することができ、この場合には、株主総会の「特別決議」によって以下の事項を定めなければなりません(会447‐Ⅰ、309‐Ⅱ‐⑨)。

(1)減少する資本金の額
この額は、資本減少の効力発生日における資本金の額を超えてはなりません(会447‐Ⅱ)。つまりマイナスとなる資本減少は認められないということです。
(2)減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額。
(3)資本金の額の減少の効力発生日。

●資本金の額の減少で株主総会の特別決議が不要な場合
◆定時株主総会で、かつ減少する資本の額が定時株主総会の日(計算書類を取締役会で確定する場合は取締役会の承認があった日)における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないときは、普通決議でかまいません(会309‐Ⅱ‐⑨)。欠損てん補ための資本減少は普通決議ですることができます。

◆新株発行と同時に資本減少をする場合において、資本減少の効力発生日後の資本金額が減少前の資本金額を下回らないときは、取締役会の決定(取締役会設置会社では取締役会の決議)で資本減少の決定をすることができます(会447‐Ⅲ)。この場合は、結局、資本金の額に減少が生じないからです。

●準備金の額の減少
会社は、準備金の額を減少することができ、この場合には、株主総会の「普通決議」により下記の事項を定めなければなりません(会448‐Ⅰ)。資本金の額の減少と異なり普通決議で足ると軽減されています。

(1)減少する準備金の額。
この額は、準備金の減少の効力発生日における準備金の額を超えてはなりません(同条‐Ⅱ)。
(2)減少する準備金の額の全部又は一部を資本金とするときは、その旨及び資本金とする額。
(3)準備金の減少の効力発生日。

ただし、株式の発行と同時に準備金の額を減少する場合において、減少後の準備金の額が減少前の準備金の額を下回らないときは、取締役の決定(取締役会設置会社では取締役会決議)ができます(同条‐Ⅲ)。結局準備金の額の減少はないからです。

たとえば、1億円新株発行でうち5千万円を準備金とする場合に、準備金を5千万円減少するような場合です。


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Posted by no-ko at 16:24 │会計の計算