株主総会

会社法講義46日目

●株主総会とは
株主総会とは、議決権をもつ株主全員で構成される株式会社の最高の意思決定機関をいいます。株主は出資者として株式会社の実質的な所有者(オーナー)ですので株主総会の意思決定は最高ということになります。

●株主総会の権限
◆取締役会非設置会社の場合
取締役会を設置しない会社では、株主総会は、会社法に規定する事項及び会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議することができます(会295‐Ⅰ)。万能の機関であるといえます。

◆取締役会設置会社の場合
取締役会設置会社においては、株主総会は、会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議することができます(会295‐Ⅱ)。

取締役会設置会社は比較的大規模な会社と考えられ、経営能力のない多数の株主が参加する株主総会でなんでも決めるより、取締役会に委ねた方が迅速で適切な運営ができると考えられるからです。

◆株主総会事項の委任禁止
会社法の規定により、株主総会の決議事項とされている事項につき、下位の機関である取締役、執行役、取締役会その他株主総会以外の機関が決定できるとする定款の定めは無効とされます(会295‐Ⅲ)。

ただし、法が明文で株主総会決議事項を他の機関に委任することができる旨定めています場合は別です。取締役会非設置会社では、募集株式や新株予約権発行事項の決定は株主総会の決議によるが、それを取締役に委任することができると定めているのがその例です(会200‐Ⅰ、239‐Ⅰ)。

●株主総会の招集

◆招集権者
(1)取締役
株主総会は、取締役が招集を決定し招集するのが原則です(会296‐Ⅲ)。取締役会設置会社では、取締役が招集を決定し(会298-Ⅳ)、代表取締役が招集します。

(2)少数株主による招集
① 総株主の議決権の100分の3以上の議決権を6箇月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項及び招集の理由を示して株主総会の招集を請求することができ、請求後遅滞なく招集手続が行われない場合や請求があった日から8週間以内の日を株主総会の日とする招集通知が発せられない場合は、裁判所の許可を得て自ら招集することができます(会297)。取締役が自らに都合の悪い株主総会の招集を怠ることが考えられるからです。
② 持株数と6箇月の保有要件は定款で緩和することができ、非公開会社では6箇月の保有期間は要求されません。また未招集期間の8週間も定款で短縮することができます。

(3)その他、取締役が裁判所の命令によって総会を招集する場合もあります(会30
7‐Ⅰ)。

◆招集の決定事項
株主総会を招集する場合には、次に掲げる事項を決定しなければないません(会298‐Ⅰ、Ⅲ)。
(1)株主総会の日時及び場所。
(2)株主総会の目的である事項があるときは、当該事項(議題)。
取締役会設置会社では、この招集通知に掲げられた議題以外は決議することができません。株主はそれにつき準備したうえで総会に臨むからです。
(3)書面による議決権行使を認めるときは、その旨。
株主(完全無議決権株主を除く)の数が1000人以上である場合には、書面による議決権行使ができる旨定めなければなりませんが、上場会社であって法務省令で定める会社についてはこの限りでありません(規則64条参照)。
(4)電磁的方法による議決権行使を認めるときは、その旨。
(5)その他法務省令で定める事項(規則63条参照)。


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Posted by no-ko at 12:43 │株主総会