誤認行為の責任
会社法講義110日目
●誤認行為の責任
◆合資会社の有限責任社員が、自己を無限責任社員であると誤認させる行為をしたときは、その有限責任社員は、誤認に基づいて会社と取引をした者に対し、無限責任社員と同一の責任を負います(会588‐Ⅰ)。
また、合資会社、合同会社の有限責任社員が、責任の限度を誤認させる行為をしたときは、その社員は、誤認に基づき会社と取引をした者に対し、誤認させた責任の範囲内で会社の債務を弁済する責任を負います(同条‐Ⅱ)。
◆合名会社、合資会社の社員でもないのに、自己を無限責任社員であると誤認させる行為をしたときは、その者(自称無限責任社員)は、誤認に基づき会社と取引をした者に対し、無限責任社員と同一の責任を負います(会589‐Ⅰ)。
合資会社、合同会社の有限責任社員でもないのに、自己を有限責任社員であると誤認させる行為をしたときは、その者(自称有限責任社員)は、誤認に基づいて会社と取引をした者に対し、誤認させた責任の範囲内で会社の債務を弁済する責任を負います(同条‐Ⅱ)。
●持分の譲渡
◆他の社員の承諾
社員は、他の社員の全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができません(会585‐Ⅰ)。持分会社の社員には業務執行権があり、他人の加入は影響が大きいからです。一方、業務を執行しない有限責任社員は、業務を執行する社員の全員の承諾があれば、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができます(同条‐Ⅱ)。
業務を執行しない有限責任社員の持分の譲渡に伴い定款の変更を生ずるときは(会576‐Ⅰ)、その持分の譲渡による定款変更は、業務を執行する社員の全員の同意によってすることができます(会637参照)。
持分譲渡に関する以上の規定は、定款で別段の定めをすることができます(同条‐Ⅳ)。
◆持分の全部を譲渡した社員の責任
持分の全部を他人に譲渡した社員は、社員でなくなりますが、その旨の登記をする前に生じた会社の債務について、従前の責任の範囲内で弁済する責任を負います(会586‐Ⅰ)。
この責任は、登記後2年以内に請求又は請求の予告をしない会社の債権者に対しては、登記後2年を経過した時に消滅します(同条‐Ⅱ)。
◆自己持分の取得禁止
持分会社は、その持分の全部又は一部を譲り受けることができません。持分会社が当該持分会社の持分を取得したときは、当該持分は取得の時に消滅します(会587)。
●誤認行為の責任
◆合資会社の有限責任社員が、自己を無限責任社員であると誤認させる行為をしたときは、その有限責任社員は、誤認に基づいて会社と取引をした者に対し、無限責任社員と同一の責任を負います(会588‐Ⅰ)。
また、合資会社、合同会社の有限責任社員が、責任の限度を誤認させる行為をしたときは、その社員は、誤認に基づき会社と取引をした者に対し、誤認させた責任の範囲内で会社の債務を弁済する責任を負います(同条‐Ⅱ)。
◆合名会社、合資会社の社員でもないのに、自己を無限責任社員であると誤認させる行為をしたときは、その者(自称無限責任社員)は、誤認に基づき会社と取引をした者に対し、無限責任社員と同一の責任を負います(会589‐Ⅰ)。
合資会社、合同会社の有限責任社員でもないのに、自己を有限責任社員であると誤認させる行為をしたときは、その者(自称有限責任社員)は、誤認に基づいて会社と取引をした者に対し、誤認させた責任の範囲内で会社の債務を弁済する責任を負います(同条‐Ⅱ)。
●持分の譲渡
◆他の社員の承諾
社員は、他の社員の全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができません(会585‐Ⅰ)。持分会社の社員には業務執行権があり、他人の加入は影響が大きいからです。一方、業務を執行しない有限責任社員は、業務を執行する社員の全員の承諾があれば、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができます(同条‐Ⅱ)。
業務を執行しない有限責任社員の持分の譲渡に伴い定款の変更を生ずるときは(会576‐Ⅰ)、その持分の譲渡による定款変更は、業務を執行する社員の全員の同意によってすることができます(会637参照)。
持分譲渡に関する以上の規定は、定款で別段の定めをすることができます(同条‐Ⅳ)。
◆持分の全部を譲渡した社員の責任
持分の全部を他人に譲渡した社員は、社員でなくなりますが、その旨の登記をする前に生じた会社の債務について、従前の責任の範囲内で弁済する責任を負います(会586‐Ⅰ)。
この責任は、登記後2年以内に請求又は請求の予告をしない会社の債権者に対しては、登記後2年を経過した時に消滅します(同条‐Ⅱ)。
◆自己持分の取得禁止
持分会社は、その持分の全部又は一部を譲り受けることができません。持分会社が当該持分会社の持分を取得したときは、当該持分は取得の時に消滅します(会587)。
Posted by no-ko at 12:14
│持分会社