任意清算

会社法講義123日目

●任意清算
◆合名会社、合資会社については、定款又は総社員の同意で会社財産の処分方法を定めて行う任意清算が認められています。なお、合同会社の債権者は会社財産だけが頼りなので、合同会社では任意清算は認められません。

すなわち、合名会社、合資会社は、定款又は総社員の同意で会社が、①定款で定めた存続期間の発生、②定款で定めた解散事由の発生、③総社員の同意(会641‐①~③)により解散した場合における会社財産の処分方法を定めることができます(会668‐Ⅰ)。この場合には、法定清算についての規定は適用されません(同条‐Ⅱ)。

◆任意清算を定めていた会社が会社法641条①~③号の事由により解散した場合には、解散の日から2週間以内に、解散の日における財産目録及び貸借対照表を作成しなければならず、解散後に任意清算を定めたときは、その時から2週間以内に解散の日における財産目録及び貸借対照表を作成しなければなりません(会669)。

◆任意清算については、債権者は会社に対し異議を述べることができます(会670‐Ⅰ)。

そこで会社は、解散の日(解散後に財産の処分方法を定めたときはその日)から2週間以内に、①任意清算をする旨、②債権者が一定の期間内(1箇月を下ることができない)に異議を述べることができる旨を官報で公告し、かつ、知れている債権者には各別にこれを催告しなければなりません(会670‐Ⅱ)。なお、各別の催告が省略できる場合があります(同条‐Ⅲ)。

債権者が期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は任意清算を承認したものとみなされます。異議を述べたときは、当該債権者に対し弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は弁済を受けさせることを目的として信託会社に相当の財産を信託しなければなりません(同条‐Ⅳ、Ⅴ)。

◆任意清算をする場合において、社員の持分を差し押さえた債権者があるときは、会社がその財産を処分するには、その債権者の同意を得なければなりません(会671‐Ⅰ)。

同意なく処分したときは、社員の持分を差押えた債権者は、会社に対し、その持分に相当する金額の支払を請求することができます(同条‐Ⅱ)。

●帳簿資料の保存と社員の責任の消滅
清算人(任意清算の場合は清算人は置かれないので、会社を代表する社員)は、清算持分会社の本店所在地における清算結了の登記の時から10年間、清算持分会社の帳簿並びにその事業及び清算に関する重要な資料を保存しなければなりません(会672‐Ⅰ、なおⅡ~Ⅴ参照)。

会社法580条に規定する社員の直接責任は、会社の本店所在地で解散登記をした後5年以内に請求又は請求の予告をしない清算持分会社の債権者に対しては、その登記後5年を経過した時に消滅します。その後は、社員に分配していない残余財産があれば、そこからの弁済を請求することができるだけとなります(会673)。


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Posted by no-ko at 23:54 │持分会社