合同会社の出資の払戻しの特則

会社法講義119日目

●合同会社の出資の払戻しの特則
合同会社の社員は、定款を変更してその出資の価額を減少する場合を除き、出資の払戻しの請求をすることができません(会632‐Ⅰ)。

出資の払戻しをする場合でも、出資払戻額が払戻し請求をした日における剰余金額(資産額から負債額と資本金額等を控除した額)又は出資の減少額のいずれか少ない額を超えるときは、払戻しができません。会社は払戻し請求を拒むことができます(同条‐Ⅱ)。

もし制限に違反して出資の払戻しをした場合には、当該出資の払戻しに関する業務を執行した社員は、会社に対し、当該出資の払戻しを受けた社員と連帯して、払戻額に相当する金銭を支払う義務を負います。

ただし、当該業務執行社員がその職務を行うにつき注意を怠らなかったことを証明したときは義務を負いません(会633‐Ⅰ)。

この義務は免除することができませんが、払戻日における剰余金額を限度として、免除につき総社員の同意があるときは、免除することができます(同条‐Ⅱ)。

制限に違反して出資の払戻しを受けた社員は、払戻額が払戻日における剰余金額を超えることにつき善意であるときは、業務執行社員からの求償の請求に応ずる義務がありません(会634‐Ⅰ)。

しかし会社の債権者は、払戻を受けた社員に対し、払戻額に相当する金銭を支払わせることができます(同条‐Ⅱ、630‐Ⅱ、463‐Ⅱと対比)。

●社員の退社に伴う払戻しの特則
合同会社の社員も退社すればその持分の全部が払戻されることになりますが(会611‐Ⅰ)、会社財産のみが責任財産である合同会社では、責任財産の減少は会社債権者に影響があります。

そこで、持分払戻額が、払戻日における剰余金額を超える場合には、債権者は会社に対し、払戻しに異議を述べることができることになっています(会635‐Ⅰ)。

会社が持分の払戻しをする場合には、会社は一定の事項を官報で公告し、かつ知れている債権者には各別に催告をしなければならないこと、各別の催告の省略などの債権者保護手続については会社法635条Ⅱ項~Ⅴ項参照してください。

会社が債権者保護手続をとらずに持分の払戻しをした場合、払戻しを受けた社員や業務執行社員は、違法な出資の払戻しをした場合と同様の責任を負います(会636、633と対比)。


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Posted by no-ko at 22:52 │持分会社