株主総会の議事・株主提案権

会社法講義48日目

●株主総会の議事
株主総会の議長は、当該株主総会の秩序を維持し、議事を整理します。議長は通常定款で定めておきますが、定めが無い場合は総会決議でえらびます。

議長は、その命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す者を退場させることができます(会315)。

●取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければなりません。

ただし、① 当該事項が株主総会の目的でる事項に関しないものである場合、②その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合、③ その他正当な事由がある場合として法務省令で定める場合(規則71条)にはその必要がありません(会314)。

①~③の理由も無く説明を拒絶すると株主総会決議取消しの訴えの対象となります。

●株主総会においては、取締役、会計参与、監査役、監査役会及び会計監査人が当該株主総会に提出し、又は提供した資料を調査する者を選任することができます。少数株主により招集された株主総会においても、その決議によって会社の業務及び財産の状況を調査する者を選任することができます(会316)。

●株主提案権
株主総会の議題、議案は取締役(取締役会設置会社では取締役会)が決定します(会298‐Ⅰ、Ⅳ)。しかしこれでは、株主の希望する議題が取り上げられない恐れがあります(たとえば、取締役の解任の件)。そこで、株主にも株主提案家として、①議題提案権(議題追加権)、②議案提案権、③議案の要領の通知請求権が認められます。

●議題の提案権
株主は、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的(議題)とすることを請求することができます(たとえば「取締役選任の件」など)。もっとも当該株主が議決権を行使することができる事項に限られます(会303‐Ⅰ)。

取締役会設置会社で公開会社においては、総株主の議決権の100分の1以上の議決権又は300個以上の議決権を6箇月前から引き続き有する株主に限り、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができます。この割合又は数、保有期間は定款で緩和することができます(同条‐Ⅱ)。

持株要件については、その議題につき議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、総株主の議決権の数に算入しません(同条‐Ⅳ)。

この請求は、株主総会の日の8週間(定款で短縮可)前までにしなければなりません(同項‐後段)。

取締役会設置会社でも公開会社でない会社については、持株数要件および請求の時期は上記と同じですが、保有期間の要件はありません(同条‐Ⅲ)。

取締役会設置会社以外の会社では、各株主が単独で議題を提案できます(同条-Ⅰ)。
●議案提案権
株主は、株主総会において、株主総会の目的である事項(議題)につき議案を提出することができます(たとえば議題が決まっているときに「Aを取締役に選任の件」という提案をすること)。この場合も当該株主が議決権を行使することができる事項に限られます(会304)。保有期間も持株要件もなく、また8週間前といった請求の制限もありません。

●議案の要領の通知請求権

株主は、取締役に対し、株主総会の日の8週間前(定款で緩和可)までに、株主総会の目的である事項につき当該株主が提出しようとする議案の要領を株主に通知(書面でするときは記載(録))することを請求することができます(会305‐Ⅰ)。

取締役会設置会社では総株主の議決権の100分の1以上の議決権又は300個以上の議決権を6箇月以上前から引き続き有する株主に限り請求することができます(同項‐ただし書)。この割合、数、保有期間は定款で緩和することができます。取締役会設置会社でも公開会社でない会社については保有期間の制限はありません(同条‐Ⅱ)。また当該議案につき議決権を行使することができない株主が有する議決権の数は、総株主の議決権の数に算入しません(同条‐Ⅲ)。

この株主への通知請求は、①議案が法令若しくは定款に違反する場合、②実質的に同一の議案につき、株主総会において総株主(当該議案につき議決権を行使できない株主を除く)の議決権の10分の1(定款で緩和可)以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合には、認められません(同条-Ⅳ)。


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Posted by no-ko at 11:40 │株主総会