株主総会の招集手続の続き

会社法講義47日目

◆招集の時期
株主総会には、①毎事業年度の終了後一定の時期に計算書類の承認を目的として招集される「定時株主総会」と②必要に応じて招集される「臨時株主総会」の二つの区別があります(会296‐Ⅰ、Ⅱ)。

◆招集の場所
株主総会の招集の場所については限定がありません。招集権者がその都度株主が集まるのに適した開催場所を決めればよいことになります(会298‐Ⅰ‐①)。

◆招集通知
株主総会を招集するには、取締役は株主総会の日の2週間前までに株主に対し招集通知を発しなければなりません(会299‐Ⅰ)。株主に出席と議題・議案について判断する機会を与えるためです。

公開会社でない会社では、書面又は電磁的方法による議決権行使を認める場合を除き、1週間前に発すれば足ります。会社が取締役会設置会社以外の会社の場合は定款でこれを下回る期間を定めることができます(会299-Ⅰ但書)。定款自治のあわわれの1つです。

招集通知は、①会社が書面又は電磁的方法による議決権行使を認めるときと②取締役会設置会社である場合は「書面」でしなければなりません(会299‐Ⅱ)。

取締役は書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより株主の承諾を得て、電磁的方法で通知を発することができ、この場合は書面による通知を発したものとみなされます(同条‐Ⅲ)。

いずれにせよ招集通知には総会の日時、場所、議題など会社法298条Ⅰ項各号に掲げる事項を記載(録)しなければなりません(同条‐Ⅳ)。

上記の①と②以外の場合は、招集通知については、特に規定がありません。よって、口頭による通知でもよく、通知内容としては、総会の日時・場所を通知するのは当然ですが、会議の目的である事項は通知しなくてよいと解されています。

◆株主総会参考書類・議決権行使書面の交付

(1)書面による議決権行使ができる旨定めた場合
株主総会招集通知に際して法務省令で定めるところにより(規則65条参照)、株主に対し、議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類(株主総会参考書類)及び株主が議決権を行使するための書面(議決権行使書面)を交付しなければなりません(電磁的方法で提供することも可能です。会301)。

(2)電磁的方法による議決権行使ができる旨定めた場合
株主総会招集通知に際して法務省令で定めるところにより(規則65条)、株主に対し、株主総会参考書類を交付しなければなりません(電磁的方法で提供することも可能です。 会302‐Ⅰ、Ⅱ)。

◆招集手続の省略
株主全員の同意がある場合は、招集手続を経ることなく招集できます(会300)。従って一人会社では招集手続なくいつでもどこでも株主総会の開催が可能です(最S46.6.24)。

ただし、書面による議決権行使・電磁的方法による議決権行使を認めた場合は、招集通知に際し、株主への参考書類等の交付が必要となるため、招集手続を省略することはできません。


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Posted by no-ko at 13:30 │株主総会