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Posted by TI-DA at

会社の種類と社員の責任

会社法講義4日目

会社の種類と社員の責任
会社には、株式会社と持分会社との2パターンがあり、持分会社には、合名会社・合資会社・合同会社があります(会2)。これらの会社の種類は、主として社員が会社の債権者に対してどのような責任を負うかということで区別されます。

◆直接責任と間接責任
会社の債務(社員個人の債務ではない)につき、社員も会社の債権者に対して直接責任を負うことを「直接責任」といいます。

直接責任を負わず、会社への出資を通じて間接的に責任を負う場合を「間接責任」といいます。

◆有限責任と無限責任
直接責任であれ間接責任であれ、社員が責任を負う場合、個人の全財産で限度なしに弁済の責任を負うかということで、責任を負う場合を「無限責任」、責任を負わない(あくまで出資額を限度とするのみ)場合を「有限責任」といいます。

◆各会社の社員の責任
各会社の社員の責任をマトメルと下記のようになります。

株式会社⇒間接・有限責任社員(株主)
合名会社⇒直接・無限責任社員
合資会社⇒直接・無限責任社員と直接・有限責任社員
合同会社⇒間接・有限責任社員

*株式会社と合同会社の社員の責任は共通しています。  


Posted by no-ko at 16:30Comments(0)会社とは

会社設立の概要

会社法講義5日目

●会社設立の概要 
会社の設立とは、会社法の規定に従い会社という営利社団法人を成立させることです。具体的には、会社の基本的枠組みを完成(実体を形成)し、設立登記をすると法人格(権利能力)を取得し、会社が成立します。株式会社に限らず、すべての種類の会社は「実体の形成」→「設立登記」によって成立します。

●株式会社の基本的枠組み(実体の形成)

株式会社の実体は、次の①~④の要件が備わることが必要です。

①会社の根本規則である「定款」の作成
⇒会社の組織・活動に関する根本規則(会社運営の基本ルール)を「定款」といいます(実質的意義の定款)。これを記載した書面(又は電磁的記録)をさして定款ということもあります(形式的意義の定款)。なお、設立時に作成した最初の定款を特に「原始定款」と呼びます。
②出資者である社員(株主)の確定
③会社の機関(取締役など)の具備
④出資の履行
⇒出資者(株主)は、有限責任なので、会社の債権者は会社の財産からしか返済してもらえません。そこで、会社の債権者に迷惑をかけないように、会社の財産がきっちりあるように、設立の時点で出資は履行されていなければならないとされています。

●設立登記
以上株式会社としての実体が形成されると、次に代表機関(取締役又は代表取締役)によって設立登記が申請され、登記によって会社は成立し法人となります(会49)。設立登記を要求することによって、形式的ではありますが法定の要件をみたしているか審査しているわけです。

●持分会社との比較
持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)もその設立手続は実体の形成→設立登記であることは同じですが、株式会社に比べて次の特徴があります。

◆合名会社、合資会社は、定款を作成すれば、それで実体は完成します。

定款には社員の氏名(法人の場合は名称)、住所が記載され(会576)、また社員は原則として会社の業務執行機関とされていますから(会590)、定款を作成すればそれだけで上記①から③が一挙に定まります。これらの会社は社員が直接無限責任を負うところから、会社に財産がなくても会社と取引する会社債権者は困らないので、設立の時点で出資を全部履行させる必要がありません。結局合名会社、合資会社は「定款の作成→設立登記」によってただちに成立します。

◆合同会社は、定款の作成→出資の履行で、実体が完成します。

以上は合同会社についても同じですが、合同会社は社員が間接有限責任しか負わないところから会社の設立前に出資全額の履行が要求される点が異なります(会578)。
すなわち合同会社は「定款の作成→出資の履行→設立登記」によって成立します。

●準則主義
このように、会社法が定めた手続に従って実体が形成されれば、官庁の許可等を要さずに設立が認められる主義を「準則主義」といいます。これによって簡単に会社の成立が認められてしまい、社会的意義のない会社までも成立する可能性があります。その弊害は解散命令の制度(会824)によって事後的に是正していくことになります。  


Posted by no-ko at 08:42Comments(0)会社の設立

発起設立・募集設立と定款

会社法講義6日目

会社法講義で難しい点は、後日説明がでてくる箇所が多いです。分かりにくい箇所があっても気軽に読み進めておいてください。あとで、読み返すとわかるようになっています。

●発起設立と募集設立
設立方法は2パターンあります。発起設立と募集設立です(会25)。

発起設立」とは、発起人が設立時発行株式(株式会社の設立に際して発行する株式)の全部を引き受けて設立する方法です。もうすこしくだけていうと、発起人とよばれる設立企画者が、株式をもらうのと引き換えに、商売の元手となる財産を全額出資する方法です。

募集設立」とは、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする方法です。つまり、発起人と募集に応じた者(募集株式引受人)が、株式をもらうのと引き換えに、商売の元手となる財産を財産を出資する方法です。

両者の設立手続は、共通する手続と異なる手続があります。

*会社法の適用条文
共通に適用される条文・・・会26条~37条、会39条、会47条~56条
発起設立に適用される条文・・・会26条~56条
募集設立に適用される条文・・・会26条~37条、会39条、会47条~103条

●共通の手続
◆定款の作成
株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければなりません(会26‐Ⅰ)。

設立時の定款は、原始定款と呼ばれます。原始定款は、発起人の総意で作成され、公証人の認証を受けないと効力を生じません(会30)

発起人」とは、会社の設立の企画者として定款に署名又は記名押印した者をいいます。署名又は記名押印しない者は実質的には設立企画者であったとしても法律上は発起人ではありません。発起人が責任を負う場合の責任負担者をハッキリさせるために、形式的に署名や記名押印があるものが発起人としているのです。

もっとも署名又は記名押印していないが発起人と間違われるような行為(たとえば、株式募集広告に自己の名前と賛助の旨を記載した者)をしたものを「擬似発起人」として発起人と同様の責任を負うとしています(会103‐Ⅱ)。

発起人は一人でもよく、制限能力者や法人でもかまいません。

◆定款の記載事項
定款の記載事項には「絶対的記載(録)事項」「相対的記載(録)事項」「任意的記載(録)事項」の区別があります。

□「定款の絶対的記載(記録)事項」とは、重要な事項なので定款に必ず記載(記録)しなければならない事項をいいます(会27)。その記載を欠く定款は無効となり、設立ができないことになります。原始定款で必ず定めなければならない定款の絶対的記載事項は、次の(1)~(5)です。

(1)目的 (2)商号 (3)本店の所在地 (4)設立に際して出資される財産の価額又はその最低額 (5)発起人の氏名又は名称(法人の場合)及び住所

*「発行可能株式総数」(株式会社が発行することができる株式の総数)は、原始定款で定めてもよいが、定めないときは発起設立では「発起人全員の同意」により、募集設立では創立総会の決議によって、株式会社の成立の時までに定款を変更して定めなければなりません(会37‐Ⅰ、98)。

「公開会社」の設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の4分の1を下ることができません(公開会社でない場合には4分の1を下回ってもよい)(会37‐Ⅲ)。これは公開会社の株主の地位が急激に低下しないための方策です。

なお、「公開会社」とは、一部の株式でも株式の譲渡制限がされていない会社をいいます。公開会社でない会社とは、すべての株式につき譲渡制限がなされている会社をいいます。  


Posted by no-ko at 09:36Comments(0)会社の設立