発起設立・募集設立と定款

会社法講義6日目

会社法講義で難しい点は、後日説明がでてくる箇所が多いです。分かりにくい箇所があっても気軽に読み進めておいてください。あとで、読み返すとわかるようになっています。

●発起設立と募集設立
設立方法は2パターンあります。発起設立と募集設立です(会25)。

発起設立」とは、発起人が設立時発行株式(株式会社の設立に際して発行する株式)の全部を引き受けて設立する方法です。もうすこしくだけていうと、発起人とよばれる設立企画者が、株式をもらうのと引き換えに、商売の元手となる財産を全額出資する方法です。

募集設立」とは、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする方法です。つまり、発起人と募集に応じた者(募集株式引受人)が、株式をもらうのと引き換えに、商売の元手となる財産を財産を出資する方法です。

両者の設立手続は、共通する手続と異なる手続があります。

*会社法の適用条文
共通に適用される条文・・・会26条~37条、会39条、会47条~56条
発起設立に適用される条文・・・会26条~56条
募集設立に適用される条文・・・会26条~37条、会39条、会47条~103条

●共通の手続
◆定款の作成
株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければなりません(会26‐Ⅰ)。

設立時の定款は、原始定款と呼ばれます。原始定款は、発起人の総意で作成され、公証人の認証を受けないと効力を生じません(会30)

発起人」とは、会社の設立の企画者として定款に署名又は記名押印した者をいいます。署名又は記名押印しない者は実質的には設立企画者であったとしても法律上は発起人ではありません。発起人が責任を負う場合の責任負担者をハッキリさせるために、形式的に署名や記名押印があるものが発起人としているのです。

もっとも署名又は記名押印していないが発起人と間違われるような行為(たとえば、株式募集広告に自己の名前と賛助の旨を記載した者)をしたものを「擬似発起人」として発起人と同様の責任を負うとしています(会103‐Ⅱ)。

発起人は一人でもよく、制限能力者や法人でもかまいません。

◆定款の記載事項
定款の記載事項には「絶対的記載(録)事項」「相対的記載(録)事項」「任意的記載(録)事項」の区別があります。

□「定款の絶対的記載(記録)事項」とは、重要な事項なので定款に必ず記載(記録)しなければならない事項をいいます(会27)。その記載を欠く定款は無効となり、設立ができないことになります。原始定款で必ず定めなければならない定款の絶対的記載事項は、次の(1)~(5)です。

(1)目的 (2)商号 (3)本店の所在地 (4)設立に際して出資される財産の価額又はその最低額 (5)発起人の氏名又は名称(法人の場合)及び住所

*「発行可能株式総数」(株式会社が発行することができる株式の総数)は、原始定款で定めてもよいが、定めないときは発起設立では「発起人全員の同意」により、募集設立では創立総会の決議によって、株式会社の成立の時までに定款を変更して定めなければなりません(会37‐Ⅰ、98)。

「公開会社」の設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の4分の1を下ることができません(公開会社でない場合には4分の1を下回ってもよい)(会37‐Ⅲ)。これは公開会社の株主の地位が急激に低下しないための方策です。

なお、「公開会社」とは、一部の株式でも株式の譲渡制限がされていない会社をいいます。公開会社でない会社とは、すべての株式につき譲渡制限がなされている会社をいいます。


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