特別清算

会社法講義105日目

●特別清算
試験には、出にくい個所なので参考程度にしてください。

裁判所は、清算会社に①清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があること、②債務超過の疑いがあること(債務超過とは、清算会社の財産がその債務を完済するのに足りない状態のことです)の場合、申立てにより、特別清算の開始を命じます(会510)。

債権者、清算人、監査役、株主は特別清算開始の申立てをすることができますが、②の清算会社に債務超過の疑いがあるときには、清算人は特別清算開始の申立てをしなければなりません(会511)。

●特別清算の手続
特別清算手続は、通常清算と異なり、裁判所の監督の下で行われ(会519‐Ⅰ)、清算人の権限も限定されます。

(1)特別清算開始の命令があった場合、清算会社が下記の行為をするには原則として裁判所の許可を得なければなりません(会535‐Ⅰ)。

① 財産の処分(事業の譲渡を除く)。 ② 借財 ③ 訴えの提起 ④ 和解又は仲裁合意(仲裁法2‐Ⅰ) ⑤ 権利の放棄 ⑥ その他裁判所の指定する行為

(2)また、清算会社が下記の行為をする場合も、裁判所の許可を得なければなりません(会536)。

①事業の全部の譲渡 ② 事業の重要な一部の譲渡(当該譲渡により譲り渡す資産の帳簿価額が当該清算会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の5分の1(定款で緩和可)を超えないものを除く)

(3)許可を得ないでした行為は無効ですが、これをもって善意の第三者に対抗することができません(会535‐Ⅲ、536‐Ⅱ)。

●特別清算開始の命令があった場合、会社は協定債権者に対して、その債権額の割合に応じて弁済をしなければなりません(会537‐Ⅰ)。すなわち、具体的な弁済の内容は「協定」により定められます(会564)。

「協定」は債権者集会で、出席した議決権者の過半数の同意又は議決権者の議決権の総額の3分の2以上の議決権を有する者の同意によって可決され(会567)、裁判所の認可の確定によって効力を生じます(会570)。

しかし、会社は裁判所の許可を得て、少額の協定債権、担保付協定債権その他弁済しても他の債権者を害するおそれのない協定債務については、債権額の割合を超えて弁済することができます(会537‐Ⅱ)。

●特別清算の終了
(1)裁判所は、特別清算開始後、①特別清算が結了したとき、②特別清算の必要がなくなったときには、清算人、監査役、債権者、株主又は調査委員の申立てにより、特別清算終結の決定をします(会573)。

(2)裁判所は、特別清算開始後、①協定の見込みがないとき、②協定の実行の見込みがないとき、③特別清算によることが、債権者の一般の利益に反するときで、清算会社に破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、職権で、破産法に従い、破産手続開始の決定をしなければなりません(会574‐Ⅰ)。

①協定が否決されたとき、②協定の不認可の決定が確定したときも同様です(同条‐Ⅱ)。


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Posted by no-ko at 13:47 │清算