残余財産の分配
会社法講義104日目
◆残余財産の分配
(1)会社は、債務を弁済した後でなければ、残余財産を株主に分配することができません。債権者への弁済前に株主に対する残余財産の分配を禁じて、債権者の保護を図る趣旨です。
ただし、その存否又は額につき争いのある債権については、その弁済に必要な財産を留保しておいて弁済することができます(会502)。
(2)会社が残余財産の分配をしようとするときは清算人の決定(清算人会設置会社では清算人会の決議)によって、次に掲げる事項を定めなければなりません(会504‐Ⅰ)。
① 残余財産の種類。
② 株主に対する残余財産の割当てに関する事項。
(a)残余財産の分配について内容の異なる二以上の種類の株式を発行しているときは、会社は当該種類株式の内容に応じ、残余財産の割当てに関する事項として次の事項を定めることができます(同条‐Ⅱ)。
(ⅰ)ある種類の株式の株主に対して残余財産の割当てをしないこととするときは、その旨及び当該株式の種類。
(ⅱ)残余財産の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行うこととするときは、その旨及び当該異なる取扱いの内容。
(b)残余財産の割当ては、同種の株主(会社の自己株式及び上記(ⅰ)の割当てをしない株式の株主を除く)の有する持株数に応じて行わなければなりません(同条‐Ⅲ)。
(3)残余財産が金銭以外の財産であるときは、株主は金銭分配請求権(当該残余財産に代えて金銭を交付することを会社に請求できる権利)を有し、この場合会社は、清算人の決定(清算人会設置会社では清算人会決議)によって、次の事項を定めなければなりません(会505‐Ⅰ)。
① 金銭分配請求権を行使することができる期間。
② 一定の数(基準株式数)未満の数の株式を有する株主に対して残余財産の割当てをしないこととするときは、その旨及びその数。
会社は基準未満株主に対しても、基準株式数を有する株主が割当てを受けた残余財産の価額として定めた額(会505‐Ⅲ)に当該基準未満株式数を乗じて得た割合に相当する金銭を支払わなければなりません(会506)。
(4)会社は金銭分配請求権を行使した株主に対し、当該株主が割当てを受けた残余財産に代えて、当該残余財産の価額に相当する金銭を支払わなければなりません(会505‐Ⅲ)。
●清算人の責任
清算人も、その任務を怠ったときは、清算会社に対して損害賠償の責任を負い、またその職務を行うにつき悪意又は重過失があったときは、第三者に対しても損害賠償責任を負います。
他にも責任を負うべき清算人、監査役があるときは、連帯債務者とされます(会486~488)。役員の責任の場合とほぼ同様となっています(会423、429、430と対比)。
●清算事務の終了
清算会社は、清算事務が終了したときは、遅滞なく、法務省令で定めるところにより(規則150条)決算報告を作成しなければなりません。清算人会設置会社では決算報告につき清算人会の承認を受けなければなりません(会507‐Ⅰ、Ⅱ)。
また清算人は、決算報告(上記承認を要するときは承認を受けたもの)を株主総会に提出又は提供し、その承認を受けなければなりません(同条‐Ⅲ)。
株主総会の承認があったときは、任務を怠ったことによる清算人の損害賠償責任は免除されたものとみなされます。ただし、清算人の職務の執行に関し不正の行為があったときは、免除とみなされません(会507‐Ⅳ)。
●帳簿資料の保存
清算人(清算人会設置会社では代表清算人又は業務執行清算人)は、本店所在地における清算結了の登記の時から10年間、清算会社の帳簿並びにその事業及び清算に関する重要な資料を保存しなければなりません(会508‐Ⅰ)。
もっとも裁判所は利害関係人の申立てにより、清算人に代わって帳簿資料を保存する者を選任することができ、その場合はその者が清算結了登記の時から10年間保存します(同条‐Ⅱ、Ⅲ)。
◆残余財産の分配
(1)会社は、債務を弁済した後でなければ、残余財産を株主に分配することができません。債権者への弁済前に株主に対する残余財産の分配を禁じて、債権者の保護を図る趣旨です。
ただし、その存否又は額につき争いのある債権については、その弁済に必要な財産を留保しておいて弁済することができます(会502)。
(2)会社が残余財産の分配をしようとするときは清算人の決定(清算人会設置会社では清算人会の決議)によって、次に掲げる事項を定めなければなりません(会504‐Ⅰ)。
① 残余財産の種類。
② 株主に対する残余財産の割当てに関する事項。
(a)残余財産の分配について内容の異なる二以上の種類の株式を発行しているときは、会社は当該種類株式の内容に応じ、残余財産の割当てに関する事項として次の事項を定めることができます(同条‐Ⅱ)。
(ⅰ)ある種類の株式の株主に対して残余財産の割当てをしないこととするときは、その旨及び当該株式の種類。
(ⅱ)残余財産の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行うこととするときは、その旨及び当該異なる取扱いの内容。
(b)残余財産の割当ては、同種の株主(会社の自己株式及び上記(ⅰ)の割当てをしない株式の株主を除く)の有する持株数に応じて行わなければなりません(同条‐Ⅲ)。
(3)残余財産が金銭以外の財産であるときは、株主は金銭分配請求権(当該残余財産に代えて金銭を交付することを会社に請求できる権利)を有し、この場合会社は、清算人の決定(清算人会設置会社では清算人会決議)によって、次の事項を定めなければなりません(会505‐Ⅰ)。
① 金銭分配請求権を行使することができる期間。
② 一定の数(基準株式数)未満の数の株式を有する株主に対して残余財産の割当てをしないこととするときは、その旨及びその数。
会社は基準未満株主に対しても、基準株式数を有する株主が割当てを受けた残余財産の価額として定めた額(会505‐Ⅲ)に当該基準未満株式数を乗じて得た割合に相当する金銭を支払わなければなりません(会506)。
(4)会社は金銭分配請求権を行使した株主に対し、当該株主が割当てを受けた残余財産に代えて、当該残余財産の価額に相当する金銭を支払わなければなりません(会505‐Ⅲ)。
●清算人の責任
清算人も、その任務を怠ったときは、清算会社に対して損害賠償の責任を負い、またその職務を行うにつき悪意又は重過失があったときは、第三者に対しても損害賠償責任を負います。
他にも責任を負うべき清算人、監査役があるときは、連帯債務者とされます(会486~488)。役員の責任の場合とほぼ同様となっています(会423、429、430と対比)。
●清算事務の終了
清算会社は、清算事務が終了したときは、遅滞なく、法務省令で定めるところにより(規則150条)決算報告を作成しなければなりません。清算人会設置会社では決算報告につき清算人会の承認を受けなければなりません(会507‐Ⅰ、Ⅱ)。
また清算人は、決算報告(上記承認を要するときは承認を受けたもの)を株主総会に提出又は提供し、その承認を受けなければなりません(同条‐Ⅲ)。
株主総会の承認があったときは、任務を怠ったことによる清算人の損害賠償責任は免除されたものとみなされます。ただし、清算人の職務の執行に関し不正の行為があったときは、免除とみなされません(会507‐Ⅳ)。
●帳簿資料の保存
清算人(清算人会設置会社では代表清算人又は業務執行清算人)は、本店所在地における清算結了の登記の時から10年間、清算会社の帳簿並びにその事業及び清算に関する重要な資料を保存しなければなりません(会508‐Ⅰ)。
もっとも裁判所は利害関係人の申立てにより、清算人に代わって帳簿資料を保存する者を選任することができ、その場合はその者が清算結了登記の時から10年間保存します(同条‐Ⅱ、Ⅲ)。
Posted by no-ko at 23:57
│清算