株式・種類株式(1)

会社法講義18日目

株式の続きです。

●株式の多様化
会社法は、異なる内容をもつ様々な種類の株式の発行を認めます。資金調達を容易にするためと会社に対する支配関係の多様化に対応するためです。それぞれの株式の内容及び数に応じて平等に取り扱わなければなりません(株主平等の原則)。

株式の内容についての特別の定めを、①発行する株式の「全部」につき内容について特別の定めをする場合と②発行する「一部」の株式につき内容の異なる株式とする場合(種類株式の発行)があります。

●全部の株式の内容についての特別の定め
会社が「全部」の株式の内容として特別の定めができるのは、次の三つの事項に限られます(会107)。

(1)譲渡制限株式とすること。
(2)取得請求権付株式とすること。
(3)取得条項付株式とすること。

以上の会社が全部の株式の内容として特別な事項を定めるときは、会社法が定める事項につき「定款」で定める必要があります(会107‐Ⅱ)。

●種類株式
会社は発行する「一部」の株式につき内容の異なる株式を発行することができます。これを「種類株式」といいます。異なる内容は次の9つの事項に限られます(会108‐Ⅰ)。

(1)剰余金の配当についての種類株式
(2)残余財産の分配についての種類株式
(3)議決権制限株式
(4)譲渡制限株式
(5)取得請求権付株式
(6)取得条項付株式
(7)全部取得条項付株式
(8)拒否権条項付株式
 (9)取締役・監査役の選解任についての種類株式

会社が内容の異なる種類株式を発行するには、法の定める事項と発行可能種類株式総数を「定款」で定めなければなりません(会108‐Ⅱ)。

例外として、剰余金の配当についての種類株式等は、定款で「内容の要綱」だけを定め、具体的な種類株主が受けることができる配当等については株主総会(取締役会設置会社では株主総会又は取締役会)で発行する時までに決定をすることができます(同条‐Ⅲ)。株式市場を考えて機動的に発行できるようにするためです。


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Posted by no-ko at 08:53│Comments(0)株式
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