●株式会社を設立する新設分割
◆新設分割計画の内容
一又は二以上の株式会社又は合同会社は、新設分割をすることができます。この場合においては新設分割計画を作成します。共同新設分割の場合には、二以上の会社が共同して作成します(会762)。
新設分割設立会社が株式会社であるときは次の事項を定めなければなりません(会763)。
(1)新設分割設立株式会社の目的、商号、本店の所在地及び発行可能株式総数その他新設分割株式会社の定款で定める事項。
(2)新設分割設立株式会社の取締役の氏名その他の役員を置くときは次の事項。
会計参与設置会社である場合
⇒設立時会計参与の氏名又は名称
監査役設置会社(会計監査権限のみの監査役を含む)の場合
⇒設立時監査役の氏名
会計監査人設置会社である場合
⇒設立時会計監査人の氏名又は名称
(3)新設株式会社が新設分割会社から承継する資産、債務、雇用契約その他の権利義務(分割会社の株式及び新株予約権に係る義務を除く)に関する事項。
(4)新設株式会社が分割会社に対して交付するその事業に関する権利義務の全部又は一部に代わる新設株式会社の株式の数(株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法並びに新設株式会社の資本金及び準備金の額に関する事項。
(5)二以上の株式会社又は合同会社が共同して新設分割をするときは、株式の割当てに関する事項。
(6)新設会社が分割会社に対してその事業の全部又は一部に代わる新設会社の社債等を交付するときは、社債等についての次の事項。共同新設分割の場合には、分割会社に対するそれらの割当てに関する事項(会763‐⑧⑨)。
① 当該社債等が新設株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く)であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法。
② それが新設会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く)であるときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法。
③ それが新設会社の新株予約権付社債であるときは、社債及び新株予約権に関する事項。
(7)新設株式会社が分割会社の新株予約権者に対して、当該新株予約権に代わる設立会社の新株予約権を交付するときは、当該新株予約権についての次の事項並びにその割当てに関する事項(会763‐⑩⑪)。
① 分割会社の新株予約権者の新株予約権の内容。その者に交付する新設株式会社の新株予約権の内容及び数又はその算定方法。
② 分割会社の新株予約権者の新株予約権が、新株予約権付社債に付されたものであるときは、新設株式会社がその社債に係る債務を承継する旨並びにその承継に係る社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法。
(8)分割会社が新設株式会社の成立の日に次の行為をするときは、その旨。
① 全部取得条項付種類株式の取得の対価として設立会社の株式を交付するとき。
② 剰余金の配当(配当財産が設立株式会社の株式のみであるものに限る)。
◆株式会社を設立する新設分割の効力発生
新設分割は、新設会社の設立登記の日に会社分割の効力が発生します。
ですから新設分割設立株式会社は、その成立の日に、新設分割計画の定めに従い、新設分割会社の権利義務を承継します(会764‐Ⅰ)。
分割会社は、新設株式会社の成立の日に、新設分割計画の定めに従い、新設会社の株主、社債権者、新株予約権者、新株予約権付社債権についての社債権者及び新株予約権者となります(同条‐Ⅳ、Ⅴ)。
分割会社の新株予約権に代わって新設会社の新株予約権を交付するときは、新設株式会社成立の日に、分割会社の新株予約権は消滅し、その者は新設会社の新株予約権者となります(同条‐Ⅶ)。
分割会社の債権者が、分割会社、新設会社に債務の履行を請求することができる場合については会社法764条Ⅱ、Ⅲ項(会759‐Ⅱ、Ⅲと対比)を参照。