持分会社の法定清算

no-ko

2007年02月22日 17:14

会社法講義122日目

●法定清算
◆清算の開始原因
持分会社は、解散(合併による解散、破産手続開始決定による解散で破産手続が終了していない場合を除く)、設立無効判決、設立取消判決の確定により、清算手続に入ります。そして、清算持分会社は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなされます(清算会社・会644、645)。

◆清算人
清算持分会社には、一人又は二人以上の清算人を置かなければならず、次の者が清算人となります(会646、647)。

(1)業務執行社員(次の(ロ)(ハ)がある場合を除く)。
(2)定款で定める者。
(3)社員(業務執行社員を定款で定めた場合にあってはその社員)の過半数の同意によって定める者。
(4)以上により清算人となる者がないときは、裁判所が利害関係人の申立てにより清算人を選任する(同条‐Ⅱ)。
(5)社員の欠亡、解散を命ずる裁判によって解散した場合には、裁判所が利害関係人若しくは法務大臣の申立てにより又は職権で清算人を選任します。設立無効、設立取消判決の確定により清算することとなった場合には、裁判所が利害関係人の申立てにより清算人を選任します(同条‐Ⅲ、Ⅳ)。

◆清算人の職務
清算人は、①現務の結了、②債権の取立て及び債務の弁済、③残余財産の分配の職務を行います(会649)。

清算人は、清算持分会社の業務を執行します(会650‐Ⅰ)。清算人が二人以上あるときは、業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、清算人の過半数で決定します(同条‐Ⅱ)。もっとも、社員が二人以上あるときは、会社の事業の全部又は一部譲渡は、社員の過半数で決定します(同条‐Ⅲ)。

法人が清算人であるときは、当該法人は、清算人の職務を行うべき者を選任し、その者の氏名及び住所を社員に通知しなければなりません(会654‐Ⅰ)。

◆清算持分会社の代表
代表清算人の定めがない場合は、清算人は持分清算会社を代表します(会655‐Ⅰ)。清算人が二人以上ある場合には、各自が代表します(同条‐Ⅱ)。

代表清算人の定めがある場合は、清算持分会社を代表する清算人、その他清算持分会社を代表する者を定めたときは、その者が代表します(同条‐Ⅰ‐ただし書)。

清算持分会社は、定款、定款の定めに基づく清算人(裁判所が選任したものを除く)の互選によって、清算人の中から代表清算人を定めることができます(同条‐Ⅲ)。法定清算人の場合は、代表社員がスライドして代表清算人となります(同条‐Ⅳ)。

◆清算手続
・財産目録等の調整
清算人は、その就任後遅滞なく、清算持分会社の財産の状況を調査し、法務省令で定めるところにより清算開始原因となった日における財産目録及び貸借対照表を作成し、各社員にその内容を通知しなければなりません(会658‐Ⅰ)。会社は財産目録等を、作成した時から本店所在地で清算結了登記の時までの間、保存しなければなりません(同条‐Ⅱ)。会社は、社員の請求により、毎月清算の状況を報告しなければなりません(同条‐Ⅲ)。

・債務の弁済
株式会社の場合とほぼ同様の規定があります(会660~662、664、665と会499~503を対比)。特に合同会社の弁済については、株式会社の場合と同じ制約があります(会660、661、665)。

・出資の履行の請求
清算持分会社に現存する財産がその債務を完済するのに足りない場合において、その出資の全部又は一部を履行していない社員があるときは、当該出資に係る定款の定めにかかわらず、会社は当該社員に出資させることができます(会663)。

・残余財産の分配
清算持分会社も、会社の債務を弁済した後でなければ、その財産を社員に分配することができませんが(会664)、残余財産の分配の割合について定款の定めがないときは、その割合は、各社員の出資の価額に応じて定めます(会666)。

◆清算事務の終了
清算持分会社は、清算事務が終了したときは、遅滞なく、清算に係る計算をして、社員の承認を受けなければなりません(会667‐Ⅰ)。社員が1箇月以内に計算につき異議を述べなかったときは、社員は計算の承認をしたものとみなされます。ただし、清算人の職務の執行に不正の行為があったときは別です(同条‐Ⅱ)。

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