出資の払戻しなど
会社法講義117日目
◆出資の払戻し
社員は、持分会社に対し、出資の払戻しを請求することができます。払戻しによって会社財産が減少しても、社員が会社債権者に対して直接責任を負うから差し支えがないからです。
同様に、金銭以外の財産出資者も、当該財産の価額に相当する金銭の払戻しを請求することができます。
会社は、出資の払戻しを請求する方法その他の出資の払戻しに関する事項を定款で定めることができます(会624‐Ⅰ、Ⅱ)。
なお、社員の持分の差押えは、出資の払戻し請求権に対してもその効力が及びます(同条‐Ⅲ)。
また、合同会社は会社の財産のみが債権者の拠り所となるため、出資の払戻しには制約があります(会632)。
●合同会社についての計算などに関する特則
合同会社の債権者にとっては、会社財産のみが頼りです。そこで資本減少や利益配当、出資の払戻しによる会社財産の減少が無制限に行われては困るわけです。そのために規制の特則が定められています。
●計算書類の閲覧に関する合同会社の特則
合同会社の債権者は、会社の営業時間内はいつでも、その計算書類(作成した日から5年以内のものに限る)について、閲覧・謄写請求ができmす(会625)。
合同会社では社員の他、「債権者」にも閲覧・謄写権を認めています(会618‐Ⅰ対比)。
●資本減少の合同会社の特則
合同会社は、損失のてん補のほか、出資の払戻しのためにも資本金の額を減少することができます(会626‐Ⅰ)。出資の払戻しのために減少する資本金の額は、出資払戻額から払戻しをする日における剰余金額を控除して得た額を超えてはなりません(同条‐Ⅱ)。
剰余金額とは、資産の額-(負債の額+資本金の額+法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額)額です(同条‐Ⅲ)。
資本金の額の減少については、会社の債権者は会社に異議を述べることができます(会627‐Ⅰ)。官報公告、知れている債権者に対する個別催告と個別催告の省略などの債権者保護手続については、株式会社の場合とほぼ同様となっています(同条‐Ⅱ~Ⅴと449‐Ⅱ~Ⅴとを対比)。資本減少の効力は、債権者保護手続が終了した日に生じます(同条‐Ⅵ)。
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