合同会社の利益配当の特則
会社法講義118日目
●合同会社の利益配当の特則
合同会社は、配当額が配当日における利益額を超えるときは、利益配当をすることができません。ですから社員による利益配当請求を拒むことができます(会628)。
もし利益配当をした場合、当該利益配当に関する業務を執行した社員は会社に対し、当該利益配当を受けた社員と連帯して、当該配当額に相当する金銭を支払う義務を負います。
ただし、当該業務執行社員がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は責任を負いません(過失責任・会629‐Ⅰ、Ⅱ)。
この義務は免除することができませんが、総社員の同意があるときは配当日における利益額を限度として、免除することができます(同条‐Ⅲ)。
違法に利益配当を受けた社員は、配当額が配当日における利益額を超えることにつき善意であるときは、業務執行社員からの求償の請求に応ずる義務がありません(会630‐Ⅰ)。
しかし債権者の保護のため、合同会社の債権者は、利益配当を受けた社員に対し、配当額に相当する金銭を支払わせることができます(同条‐Ⅱ、463‐Ⅱと対比)。
合同会社が利益配当をした場合において、配当日の属する事業年度の末日に欠損額(合同会社の欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額・計算規則193条)が生じたときは、当該利益配当業務を執行した社員は、会社に対し、当該利益配当を受けた社員と連帯して、その欠損額(当該欠損額が配当額を超えるときは、当該配当額)を支払う義務を負います。
ただし、当該業務執行社員がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、責任を負いません(過失責任・会631‐Ⅰ)。
この義務は、総社員の同意がなければ、免除することができません(同条‐Ⅱ)。
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