株式分割

no-ko

2006年10月07日 20:23

会社法講義29日目

●株式分割
「株式の分割」とは、1株を2株に、3株を5株にというように、株式を細分化して多数の株式とすることをいいます(会183)。これにより発行済株式数は増加しますが会社の資産に変動はないので、一株当たりの株価は下がります(株式併合の場合と逆)。

◆会社は、株式の分割をしようとするときは、その都度、株主総会(取締役会設置会社にあっては取締役会)の決議によって①分割の割合及び分割の基準日、②株式分割の効力発生日、③種類株式の場合は分割する株式の種類を定めなければなりません(会183‐Ⅱ)。
株式併合のように株主の地位には影響がないので、決議が容易になっています。

基準日の定めは、その基準日の2週間前までに(定款の定めがあれば別)、その基準日および株式の分割にかかる事項を公告しなければなりません(会124‐Ⅲ)。名義書換がまだの株主に名簿の名義書換を促して、株式分割の権利を失わないようにするためです。

会社(現に二以上の種類の株式を発行しているものを除く)は、株主総会の特別決議によらないで、株式分割の効力発生日における発行可能株式総数を、その日の前日の発行可能株式総数に分割割合を乗じて得た数の「範囲内」で増加する定款の変更をすることができます(会184‐Ⅱ)。

たとえば発行可能株式総数1200株。発行済400株の会社が、1株を2株に分割する場合、定款を変更して発行可能株式総数を2400株まで増加することができます。

株式分割により一株に満たない端数が出た場合の処理については、株式併合の場合と同様で金銭で処理されます(会235)。

◆株式分割の効力は、基準日に株主名簿に記載(録)されている株主につき、株式分割の効力発生日に生じます。基準日株主(種類株主)は、基準日に有する株式の数に分割の割合を乗じて得た数の株式を取得します(会184‐Ⅰ)。自己株式についても同様です。


●株式の無償割当て
「株式の無償割当て」とは、株主(種類株主)に対して、新たな払込みをさせないで(無償)で会社の株式の割当てをすることをいいます(会185)。株式分割の場合と同様に、会社財産は増加しないで発行済株式数が増加します。

しかし、株式分割とは次の点で異なります。

①同一又は異なる種類の株式の割当てもできます。株式分割は、同じ種類の株式しか割当てできません。

②自己株式には、無償株式の割当てはできません。株式分割の場合は自己株式にも株式分割の効力が生じます。

③交付する株式は、自己株式でもかまいません。株式分割には、自己株式の交付はありません。

◆会社が株式の無償割当てをしようとするときは、その都度株主総会(取締役会設置会社では取締役会)の決議(定款で別段の定め可)で、①株主に割当てる株式の数(種類株式発行会社にあっては株式の種類及び種類ごとの数)又はその算定方法、②無償割当ての効力発生日、③種類株式発行会社であります場合は、無償割当てを受ける株主の有する株式の種類。次の事項を定めなければなりません(会186‐Ⅰ、Ⅲ)。

◆無償割当ての効力は、効力発生日に生じ、株主はその日に割当てられた株式の株主となります(会187‐Ⅰ)。

会社は、効力発生日後遅滞なく株主(無償割当てを受ける種類株主)及びその登録質権者に、割当てを受けた株式の数(株式の種類及び種類ごとの数)を通知しなければなりません(同条‐Ⅱ)。

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