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Posted by TI-DA at

会社の意義

会社法講義1日目

●会社の意義
「会社」とは、複数の者が出資をする共同事業の一種です。

会社には、株式会社と持分会社との2パターンがあり、持分会社には、合名会社・合資会社・合同会社があります(会2)。

出資者の構成員(メンバー)を「社員」と呼ぶことを知ってください。会社法で「社員」とは、出資者である構成員を指し、通常の用語であるサラリーマン(従業員)のことを指すわけではないのです。なお、株式会社の社員のことは特に「株主」と呼びます。

●会社の法人性
会社は、法人とされます(会3)。このように団体に法人格を与えるのは、団体を一個の「人」とすることによって、団体自身の名において権利を有し義務を負うことが認め権利義務関係の処理を簡便にするためです。

会社法は、法人格取得の要件を定め、その要件がみたされた時は、行政官庁の免許等の取得を問題としないで当然に法人格の取得を認めます(準則主義といいます)。

◆法人格否認の法理
法人格否認の法理」とは、会社の法人格を「特定の事案に限り」、その事件の解決に必要なときは法人格を無視し、法人とその背後の社員とを同一視して取り扱う法理をいいます。

会社法に明文はありませんが判例により認められています(最S44.2.27)。たとえば債務者が強制執行を免れるために、自己の財産を出資して会社を設立するような場合のような場合に使われます。

判例上、主に法人格の濫用または法人格の形骸化が認められる場合の二つの場合に、この法理が認められています。

①濫用事例
競業避止義務を負う個人が会社を設立し、この会社は別人格でありますとしてこの会社に競業取引をさせる場合。個人と会社とを同一視し、会社にも競業避止義務を認める必要があります。

②形骸事例
個人企業(親父一人で商売している八百屋さん)が法人企業(会社)となることを「法人成り」といいます。この場合、形式的には両者は別人となりますが、実質的には同一です。

このように法人格が全くの形式的なものにすぎない場合、もし会社にお金がなくても、両者を同一視して会社の借金は、背後の社員個人(八百屋の親父)に負わせるのが公平です。

*注意点
法人格否認の法理は、会社の存在は認めつつ、当該事件の解決に必要な限りにおいて法人格を否認して解決を図ろうとするものであります。会社を消滅させるものではありません。
②法人格否認の法理が認められる場合で、会社に強制執行を認める判決がでても、その判決で個人に強制執行まではできないとするのが判例です(最S53.9.14)。強制執行等は重要なので、慎重を期しているのでしょう。  


Posted by no-ko at 21:40Comments(2)会社とは

会社の意義

会社法講義2日目

●会社の営利性
会社は対外的な営利活動によって得た利益を出資者である構成員(=社員)に分配することを目的とする団体(営利団体)です。社員は、利益の分配を求めて出資します。この分配は、毎期の剰余金の分配や解散時の残金財産の分配の方法によってもかまいません。

●会社の社団性
「社団」とは員の体の略です。すべて会社は利益の分配を求めて出資をした社員の団体であると解されています。

◆一人(いちにん)会社
会社はすべて「社団」だとすると、社員一人の会社(一人会社)を会社法が認めていることがこれと矛盾しないのかが疑問となります。

会社法では、株式会社・合名会社・合同会社では一人会社が認められています。合資会社だけが認められていません。合資会社に一人会社が認められないのは、合資会社は無限責任社員と有限責任社員とがそれぞれ一人以上いなければならないからです。しかし社員が一人となったことは会社の解散原因とされていません(会641―社員がゼロになると解散とします)。

会社は社団であるとしながら、一人会社を認める理由は、
①完全親子会社のように一人会社を認める必要性があること、
②一人会社であっても株式又は持分の譲渡によって容易に社員を複数とすることができるので、
潜在的には社団であるといえると説明されます(潜在的社団の理論)。  


Posted by no-ko at 12:00Comments(0)会社とは

会社の権利能力

会社法講義3日目

会社の権利能力
会社は法人、すなわち人であるといっても、自然人と全く同様に権利や義務が取得できるわけではありません。

◆性質による制限
会社は生命・身体・親族関係がないので、自然人のように親権、扶養請求権、相続権などの主体とはなれません。

◆法令による制限
会社も法令上の制限があれば当然その範囲においてのみ権利を有し義務を負う。会社が解散又は破産した場合、清算の目的の範囲でのみ権利を有し、義務を負うとされるのがこの例です(会476、645、破35)。

◆定款所定の目的による制限
民法は、法人は定款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負うとします(民法43)。会社も法人であり、また民法は一般法ですから、会社にもこの民法の規定が類推適用されるかが問題となります。類推適用とされるのは、民法は「公益」法人の規定なので、「営利」法人である会社には、直接には当てはまらないからです。

①類推適用肯定説
会社も定款で定めた目的の範囲内においてのみ権利を有し義務を負うと解する説です。

・法人は一定の目的の下に組織された団体ですから、その目的の範囲内で権利や義務が持てるとしてやれば足りること。
・社員もその目的の範囲内での活動を期待して出資していること。
たとえば、おいしいパンの製造・販売する会社と思って出資したのに、会社が不動産取引をすると出資者である社員の期待に反します。
・目的は登記によって公示されているので、こう解しても取引の安全を害することはないこと。

②類推適用否定説
定款の目的により営利法人たる会社の権利能力は制限されないと解する説です。

・肯定説だと、現実に目的外取引が行われた場合、それは権利能力外の取引として会社に効果が帰属せず(無効)、それでは取引の安全が害されることを理由とします。

③判例の立場
判例は肯定説に立ちます(最S45.6.24 八幡製鉄政治献金事件)。

しかし、取引の安全を考えて、目的を緩やかに解して、定款に記載(記録)されている目的たる事業及びその事業を達成するのに必要な行為はすべて目的の範囲内にあるとします。そして事業を達成するのに必要な行為か否かは、会社代表者の主観的意図ではなく「行為の客観的性質」から判断すると判示しています。

従って現実の訴訟で目的の範囲外で無効とされます例はまずないといわれています。  


Posted by no-ko at 09:37Comments(0)会社とは