社債管理者の権限行使の特則

●社債管理者の権限行使の特則
◆特別代理人の選任
社債権者と社債管理者との利益が相反する場合において、社債権者のために裁判上又は裁判外の行為をする必要があるときは、裁判所は社債権者集会の申立てにより、特別代理人を選任しなければなりません(会707)。

◆二以上の社債管理者がある場合
二以上の社債管理者があるときは、共同してその権限を行使しなければなりません(会709‐Ⅰ)。この場合、社債管理者が弁済を受けたときは、社債管理者は、社債権者に対し「連帯」して、当該弁済額を支払う義務を負います(同条‐Ⅱ)。

●社債管理者の義務と責任
◆社債管理者の義務
社債管理者は、社債権者のために、公平かつ誠実に社債の管理を行わなければならず、また、社債権者に対し、善管注意をもって社債の管理を行わなければなりません(会704)。

◆社債管理者の責任
社債管理者は、会社法又は社債権者集会の決議に違反したときは、社債権者に対し、連帯して、これによって生じた損害を賠償する責任を負います(会710‐Ⅰ)。上記善管注意義務を怠った場合などです。

さらに社債管理者は、社債発行会社が社債の償還若しくは利息の支払を怠り、若しくは社債発行会社について支払の停止があった後又はその前3箇月以内に下記の行為をしたときは、社債権者に対し損害を賠償する責任を負います。社債発行会社の信用悪化後の社債管理者の利益相反行為に対し、特別の規定を設けたものです。

ただし当該社債管理者が誠実にすべき社債の管理を怠らなかったこと又は当該損害が当該行為によって生じたものでないことを証明したときは、責任を負いません(会710‐Ⅱ)。

①社債管理者が有する債権につき、社債発行会社から担保の供与又は債務の消滅に関する行為(弁済など)を受けること。

社債管理者は銀行などであるため、社債権者を差し置いて自らの債権の回収を図るような利益相反的行為を防止する趣旨です。

②社債管理者と、法務省令で定める特別の関係がある者(規則171条)に対して債権を譲渡し、譲受人が社債発行会社から担保の供与、弁済などを受けること。

① の脱法を防ぐためです。

③社債管理者が社債発行会社に対して債権を有している場合に、その債権の相殺目的で社債発行会社の財産処分契約(財産の譲受契約など)を締結し、又は社債発行会社に債務を負う者と債務の引受契約をして相殺すること。

④逆に、社債管理者が社債発行会社に債務を負っている場合に、社債発行会社に対する債権を譲受けて相殺すること。


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Posted by no-ko at 12:29 │社債