資本金

会社法講義90日

●資本金
資本金とは、会社が保有すべき純資産額を示した「計算上」の金額をいいます。

株式会社の社員は有限責任のため、会社財産だけが会社債権者の頼りです。そこで資本金額を基準として少なくともその額だけは会社財産を確保させようとしたのです。

株式会社の資本金の額は、原則として、設立又は株式の発行に際して株主となる者が会社に対して払込み又は給付をした財産の額です(会445‐Ⅰ)。ただし、その額の2分の1を超えない額は、資本金として計上しないことができ、この払込剰余金は、資本準備金として計上しなければならないこととなっています(同条‐Ⅱ、Ⅲ)。

資本金は貸借対照表に記載され、登記されて公示されます。

●準備金
準備金は法によって積立てが強制されるもの法定準備金と、会社が任意に積立てる任意準備金があります。法定準備金には、資本準備金と利益準備金が含まれます(会445‐Ⅳ)。

会社が確保すべき財産が資本金だけだと、経営上の損失によりすぐに会社の純資産が資本金額を割り込んでしまうので、資本金の上にさらに準備金という制度を設け、両方に対応する会社財産を確保させようとしたものです。準備金も会社財産確保の基準となる「計算上」の数額として、登記はされませんが、貸借対照表によって公示されます。

●準備金の算定
剰余金の配当をする場合には、会社は、法務省令で定めるところにより(会社計算規則の定めるところによる・規則116条)、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に10分の1を乗じて得た額を資本準備金又は利益準備金として計上しなければなりません(会445‐Ⅳ)。

合併、吸収分割、株式交換、株式移転に際して、資本金又は準備金として計上すべき額については、法務省令で定められています(同条‐Ⅴ、規則116条)。

●資本金・準備金の減少
資本金、準備金の減少には、原則として株主総会の決議と会社債権者の保護手続とが必要です。いずれも株主にとり重要事項だからであり、それらの減少は会社が確保すべき財産の減少をもたらすから債権者に対しても影響が大きいからです。

なお、減少ができる資本金、準備金の額については制限がないので、いずれも0円とすることが可能です。


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Posted by no-ko at 13:27 │会計の計算