定款による監査範囲の限定

会社法講義69日目

●定款による監査範囲の限定
公開会社でない会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く)は、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨、定款で定めることができます(会389‐Ⅰ)。
中小企業では、取締役の監査までできる人材を確保できないことが往々にしてあるからです。

定款で会計監査に限定された監査役は、法務省令で定めるところにより(規則107条)、監査報告書を作成しなければならず、また取締役が株主総会に提出しようとする「会計に関する」議案、書類その他の法務省令で定めるもの(規則108条参照)を調査し、その調査の結果を株主総会に報告しなければなりません(会389‐Ⅱ、Ⅲ)。

そのため、会計帳簿その他の資料の閲覧・謄写請求ができ、又は取締役、会計参与、支配人その他の使用人に対し「会計に関する」報告を求めることができます(同条‐Ⅳ)。

また、必要があるときは、子会社に対しても「会計に関する」報告を求め、又は会社、子会社の業務及び財産の状況を調査することができます(同条‐Ⅴ)。

子会社は正当な理由があるときは報告又は調査を拒むことができます(同条‐Ⅵ)。

会計監査に限定された監査役は、業務監査の権限がないので、それを前提とした権限はありません。会社法381条~386条までの権限は認められません(会389‐Ⅶ)。


同じカテゴリー(監査役)の記事
監査役の職務
監査役の職務(2006-11-29 12:01)

監査役
監査役(2006-11-27 14:17)


Posted by no-ko at 12:58 │監査役