新株予約権の行使

会社法講義44日目

●新株予約権の行使
新株予約権の行使は、①行使に係る新株予約権の内容及び数、②新株予約権を行使する日を明らかにしてしなければなりません(会280‐Ⅰ)。

証券発行新株予約権を行使しようとするときは、新株予約権者は、新株予約権証券を会社に提出しなければなりません(会280‐Ⅱ)。ただし、当該新株予約権証券が発行されていないときは、提出の必要がありません(同項‐ただし書)。

証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権を行使しようとする場合には、新株予約権付社債券を会社に提示しなければなりません。社債が残っているので、会社に提出するのではないことに注意をしてください。この場合において会社は、当該証券に権利行使によって新株予約権が消滅した旨を記載しなければなりません(会280‐Ⅲ)。

もっとも、社債金額を新株予約権行使の際の払込みに充てる場合で、当該新株予約権の行使によって社債が消滅するときは、新株予約権付社債券を会社に提出しなければなりません(同条‐Ⅳ)。

社債の償還後に新株予約権の行使をしようとする場合も同様に、新株予約権付社債券を会社に提出しなければなりません(会280‐Ⅴ)。

会社は、自己新株予約権を行使することはできません(会280‐Ⅵ)。自分で自分に出資することは意味がないからです。

●行使に際しての払込み
金銭を新株予約権の行使に際してする出資の目的とするときは、新株予約権者は、新株予約権の行使日に、会社が定めた銀行等の払込取扱場所において払込価額(会236‐Ⅰ‐②)の全額を払い込まなければなりません(会281‐Ⅰ)。

金銭以外の財産を新株予約権の行使に際しての出資の目的とするときは、新株予約権の行使日に出資財産(会236‐Ⅰ‐③)を給付しなければならず、その財産の価額が新株予約権の行使に際して出資されます財産の価額(会236‐Ⅰ‐②)に足りないときは、銀行等の払込取扱場所においてその差額に相当する金銭を払い込まなければなりません(会281‐Ⅱ)。

新株予約権者は、金銭による払込み又は金銭以外の財産を給付する債務と会社に対する債権とを相殺することができません(会281‐Ⅲ)。

●株主となる時期

新株予約権を行使した新株予約権者は、新株予約権を行使した日に、当該新株予約権の目的である株主となります(会282)。このとき、交付する株式の数に一株に満たない端数があるときは、端数を乗じて得た金銭の交付によることになります(会283)。

●金銭以外の財産の出資
新株予約権の行使に際し、金銭以外の財産が出資の目的とされたときは、会社は給付後遅滞なく現物出資財産の価額を調査させるため、裁判所に対し検査役の選任の申立てをしなければなりません(会284)。募集株式の場合における現物出資の場合と同様の規制が置かれています(会284~286)。


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