設立時株式発行事項の決定など

会社法講義8日目

発起設立と募集設立の共通事項の続きです。次回より、発起設立に入ります。

●設立時株式発行事項の決定
発起人は、株式会社の設立に際して次に掲げる事項(定款に定めがある事項を除く)を定めようとするときは、発起人「全員の同意」が必要です(会32)。

(1)発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数。
(2)上記設立時発行株式と引換えに払込む金銭の額。
(3)成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項。

以上のように発起人への設立時発行株式の割当ては、重要な事項ですので定款で定めてもかまいませんが、発起人全員の同意によって定款外で決定することもできます。これは、定款作成後の事態(経済状況の変化による資金の必要額の変化など)に機動的に対応できるように配慮したからです。

●発起人による株式の引き受け
各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければなりません(会25‐Ⅱ)。発起人を出資者とすることで無責任な設立手続を回避するためです。このとき全株式を引き受ければ発起設立、一部を引き受ければ募集設立手続となるわけです。

●公証人の認証
定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じません(会30‐Ⅰ)。定款の内容につき後日争いが生じないようにするためです。

この認証は設立しようとする会社の本店所在地を管轄する法務局または地方法務局に所属する公証人にしてもらわなければなりません。なお、持分会社では、公証人の認証は要求されていません。

公証人の認証を受けた定款は、会社の成立前は次の場合を除き、変更することができません(会30‐Ⅱ)。

(1)裁判所が現物出資財産等の変態設立事項についての定款の記載事項を不当と認め、これを変更する決定をした場合(会33‐Ⅶ)。また、この決定の確定後1週間以内に、発起人の全員の同意により、当該決定により変更された事項についての定めを廃止する場合(会33‐Ⅸ)。

(2)発行可能株式総数の定めを設け、又は変更する場合(会37‐Ⅰ、Ⅱ)。

*募集設立の場合は、発起人は、設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日またはその期間の初日のうち最も早い日以後は、定款の変更をすることができません(会95)。しかし、創立総会の決議によって、定款の変更をすることができます(会96)。

●定款の備置き及び閲覧
発起人(会社成立後は会社)は、定款を発起人が定めた場所(会社成立後はその本店及び支店)に備えおかなければなりません(会31-Ⅰ項)。

発起人(会社成立後は株主及び債権者)は発起人が定めた時間(会社成立後は営業時間)内はいつでも定款の閲覧や謄本・抄本の請求をすることができます(会31-Ⅱ項)。設立時募集株式引受人も、発起人が定めた時間内は、閲覧や謄本・抄本の請求をすることができます(会102)

会社の成立後は、親会社社員(株主その他の社員)も、その権利行使のため必要があると
きは「裁判所の許可」を得て、閲覧や謄本・抄本の請求をすることができます(会31-Ⅲ項)。


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