組織変更続き
◆新株予約権の買取請求
新株予約権を発行している株式会社が持分会社へ組織を変更すると、新株予約権は効力発生日に消滅します(会745‐Ⅴ)。持分会社に新株予約権はないからです。
そこで通常は組織変更計画の中で新株予約権を会社が買い取る旨を定めますが(会744‐⑦⑧)、それに不満な新株予約権者は、株式会社に対し公正な価額で買い取ることを請求することができます(会777‐Ⅰ)。新株予約権付社債に付された新株予約権の買取請求をする者は、別段の定めがない限り、社債も併せて買い取ることを請求しなければなりません(同条‐Ⅱ)。
そのため、株式会社は、効力発生日の20日前までに、新株予約権者に対し、組織変更をする旨を通知又は公告しなければならないことになっています(同条‐Ⅲ、Ⅳ)。
なお、組織変更を中止したときは、新株予約権買取請求は、その効力を失います(会777‐Ⅶ)。
◆債権者保護手続
組織変更をする株式会社の債権者は、株式会社に対し異議を述べることができます(会779‐Ⅰ)。
そのため、株式会社は①組織を変更する旨、②組織変更する株式会社の計算書類(会435‐Ⅱの計算書類)に関する事項として法務省令で定めるもの(規則181条)、③債権者が、一定の期間内(1箇月を下ることができない)に異議を述べることができる旨の事項を官報で公告し、かつ知れている債権者には各別にこれを催告しなければなりません。ただし、公告を官報のほか定款で定める会社の公告方法でも行ったときは、各別の催告はする必要がありません(同条‐Ⅱ、Ⅲ)。
債権者が期間内に異議を述べなかったときは、承認とみなし、異議を述べたときは弁済などの満足を与えることになるが、組織変更をしてもその債権者を害するおそれがないときは、その必要がありません(同条‐Ⅳ、Ⅴ)。
◆組織変更の効力発生
組織変更をする株式会社は、効力発生日に持分会社となり、その日に組織変更計画で定めた目的、商号など(会744‐Ⅰ‐②~④)の定款の変更をしたものとみなされます(会745‐Ⅰ、Ⅱ)。
株主は、効力発生日に持分会社の社員となり、株主が株式の対価として持分会社の社債の交付を受けたときはその日に持分会社の社債権者となります(同条‐Ⅲ、Ⅳ)。新株予約権は効力発生日に消滅します(同条‐Ⅴ)。
組織変更の効力は、債権者保護手続(会779)が終了していない場合又は組織変更を中止した場合には生じません(同条‐Ⅵ)。
◆組織変更の効力発生日の変更
組織変更をする株式会社は、効力発生日を変更することができます。この場合は変更後の効力発生日が効力発生日とみなされます(会780‐Ⅰ、Ⅲ)。
効力発生日を変更した場合、会社は、変更前の効力発生日(変更後の効力発生日が変更前の効力発生日より前の日であるときは、変更後の効力発生日)の前日までに、変更後の効力発生日を公告しなければなりません(同条‐Ⅱ)。
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