社債管理者の退任と事務の承継

●社債管理者の退任と事務の承継
◆社債管理者の辞任
社債管理者は下記の場合に辞任することができます(会711)。

①債管理者は、社債発行会社及び社債権者集会の同意を得て辞任することができます。この場合において、他に社債管理者がいないときは、あらかじめ事務を承継する社債管理者を定めなければなりません。

②社債管理者との委託契約で定めた事由があるときも辞任することができます。ただし当該契約に事務を承継する社債管理者に関する定めがないときは辞任できません。社債管理者不在という状況は好ましくないからです。

③やむを得ない事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができます。

◆社債管理者の解任
裁判所は、社債管理者がその義務に違反したとき、その事務処理に不適任であるときその他正当な理由があるときは、社債発行会社又は社債権者集会の申立てにより、社債管理者を解任することができます(会713)。

●社債管理者の事務承継
◆社債管理者が、① 社債管理者の資格を失ったとき、② 裁判所の許可を得て辞任したとき、③ 解任されたとき、④ 解散したときのいずれかに該当することとなった場合において、他に社債管理者がないときは、社債発行会社は、事務を承継する社債管理者を定め、社債権者のために、社債の管理を行うことを委託しなければなりません(会714‐Ⅰ)。

この場合、社債発行会社は、社債権者集会の同意を得るため、遅滞なくこれを招集し、かつその同意を得ることができなかった場合はその「同意に代わる裁判所の許可」の申立てをしなければなりません(同項‐後段)。

社債発行会社が社債管理者の欠けた日から2箇月以内に招集も申立てもしなかったときは、社債の総額について期限の利益を失います(同条‐Ⅱ)。

◆社債管理者が欠けた場合において、やむを得ない事由があるときは、利害関係人は、裁判所に対し、事務を承継する社債管理者の「選任の申立て」をすることができます(同条‐Ⅲ)。

◆社債発行会社が事務を承継する社債管理者を定めた場合、又は裁判所が事務を承継する社債管理者を選任した場合には、遅滞なく、その旨を公告し、かつ知れている社債権者には各別にこれを通知しなければなりません(同条‐Ⅳ)。社債権者に知らせるためだから、社債権者集会の同意を得た場合は、その必要はありません(同項‐カッコ書)。



Posted by no-ko at 12:55