事業譲渡 2

会社法講義99日目

●事業譲渡等で株主総会の承認が不要な場合
株主総会の承認は不要な場合です。
(1) 事業の一部譲渡において、譲渡財産の帳簿価額が会社の総資産額として法務省令で定める方法により算出される額(規則134条)の5分の1(定款で緩和可)を超えない場合(会467‐Ⅰ‐②カッコ書)。譲渡する規模が小さい場合です。

(2)事業の全部譲渡、重要な一部譲渡、事業全部の譲受け、賃貸、経営委任などの契約の相手方が特別支配会社(ある会社の総株主の議決権の10分の9(定款で引き上げること可)以上を他の会社及び当該他の会社が発行済株式の全部を有する株式会社その他これに準ずるものとして法務省令で定める法人(規則136条)が有している場合の当該他の会社)である場合(会468‐Ⅰ)。可決に決まっているからです。

(2)他の会社の事業の全部の譲受けの場合において、譲渡の対価として交付する財産の帳簿価額の合計額が、譲受会社の純資産額の5分の1(定款で緩和可)を超えないとき(簡易譲受け・会468‐Ⅱ)。この場合において、法務省令で定める数の株式(承認につき議決権を行使できるものに限る)を有する株主(規則138条)が反対の旨会社に通知したときは、効力発生日の前日までに原則どおり株主総会の承認を受けなければなりません(同条‐Ⅲ)。

●反対株主の株式買取請求権
事業譲渡等をしようとする会社は、効力発生日の20日前までに、株主に対し、事業譲渡等をする旨を通知しなければなりません。公開会社又は株主総会決議によって事業譲渡等に係る契約の承認を受けた場合には、通知に代えて公告によることができます(会469‐Ⅲ、Ⅳ)。

事業譲渡等に反対の株主は、会社に対し、自己の有する株式を公正な価額で買い取ることを請求することができます。ただし、事業の全部譲渡をする場合において、株主総会の承認決議と同時に解散決議をしたときは買取請求はできません(会469‐Ⅰ)。

買取請求は、効力発生日の20日前の日から、効力発生日の前日までの間に、その株式買取請求に係る株式の数(株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければなりません(同条‐Ⅴ)。もっとも、事業譲渡等を中止したときは、株式買取請求は、その効力を失います(同条‐Ⅶ)。

株式買取請求をした株主は、会社の承諾を得た場合に限り、その請求を撤回することができます(同条‐Ⅵ)。


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Posted by no-ko at 14:10 │事業譲渡