単元株制度

会社法講義30日目

●単元株制度とは
単元株制度とは、定款で、一定の数の株式を1単元の株式とすることを定め、一単元の株式をもって株主総会(種類株主総会)において1個の議決権を行使することができるとする制度をいいます(会188‐Ⅰ)。これによって株主管理コストが削減できます(単元未満株主への株主総会招集通知の省略など)。

1単元の株式数の上限は、1000株と定められています(会188‐Ⅱ・規則34条)。1単元をあまりに大きなものとして、株主の利益が害されるのを防ぐ趣旨です。

また、種類株式発行会社においては、単元株式数は、株式の種類ごとに定めなければなりません(同条‐Ⅲ)。1株の大きさや権利の内容が種類ごとに異なるからです。

●単元株の設定・変更
単元株式数を定める場合には、取締役は、単元株式数を定める定款変更を行う株主総会で、それを必要とする理由を説明しなければなりません(会190)。

◆株式の分割と同時に、各株主の有する議決権が減少しない範囲で単元株式数の設定又は単元株式数を増加する場合には、株主総会の決議によらないで定款を変更することができます(会191)。

たとえば、10株1単元の会社が、1株を2株に株式分割をした場合、20株を1単元とする単元株式数を増加させる定款変更をしても株主の議決権は変動しません。そこで、株主総会の決議が不要となっています。

◆会社は、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって定款を変更して単元株式数を減少し、又は単元株式数についての定款の定めを廃止することができます(会195‐Ⅰ)。単元株式数の減少、廃止は、株主の議決権の増加をもたらし、株主に利益な変更なので株主総会で決定させる必要がないからです。

この場合、会社は定款変更の効力が生じた後遅滞なく株主(単元株式数を変更した種類株主)にその旨通知しなければなりませんが、公告をもってこれに代えることができます(同条‐Ⅱ、Ⅲ)。

●単元未満株主の権利
単元株式数に満たない株式の数(単元未満株式)を有する株主(単元未満株主)は、株主総会又は種類株主総会で議決権を行使することができません(会189‐Ⅰ)。従って議決権を前提とする権利(たとえば提案権など)も有しませんが、その他の株主としての権利は失われません。

なお、株券発行会社は、単元未満株券を発行しない旨定款で定めることができる(会189‐Ⅲ)。

定款で単元未満株主の権利の全部又は一部を行使できない旨定めることができますが、次に掲げる権利は奪うことができません(会189‐Ⅱ)。
(1)全部取得条項付種類株式の取得対価の交付を受ける権利。
(2)会社による取得条項付株式の取得と引換えに金銭等の交付を受ける権利。
(3)株式無償割当てを受ける権利。
(4)単元未満株式の買取請求権。
(5)残余財産の分配請求権。
(6)その他法務省令で定める権利(定款の閲覧請求など・規則35条)。

●単元未満株式の買取請求
株主は会社に対し、自己の有する単元未満株式を買取るよう請求することができます(会192‐Ⅰ)。議決権もない株式を保有していても意味がないと思う株主が利用することになります。買取請求は、会社の承諾を得た場合に限り、撤回することができます(同条‐Ⅲ)。

●単元未満株主の売渡請求
単元未満株主が、有する単元未満株式の数と併せて単元株式数となる数の株式を売渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができます(会194‐Ⅰ)。これによって単元未満株主は単元株主になることができます。

請求により会社は、売り渡すべき数の株式を有さない場合を除き、自己株式をその単元未満株主に売り渡さなければなりません(会194‐Ⅲ)。

たとえば、10株で1単元の株式とする旨の定めがある場合、4株の株主は6株の株式を売り渡すべき旨を請求することができます。


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Posted by no-ko at 11:27│Comments(0)株式
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